2021 年 77 巻 4 号 p. I_14-I_23
地震時に活断層周辺で生じる地表変位を予測することは,変位が社会基盤施設に与える影響を考察する上で重要である.二つの横ずれ断層で挟まれる領域では,沈降場が生じるプルアパート構造がしばしば認められる.プルアパート構造についての個別事例報告は存在するが,その素過程については未解明な部分が多い.ここでは断層面配置および広域応力場を変化させ,プルアパート構造の沈降量や断層面上すべり量がどのように変化するのかを有限要素法により検討した.結果,断層面のオーバラップが沈降量に対して感度が高い事,地表での沈降様式に主応力方向は強くは関連しないこと,沈降量が最大となる断層面配置と広域応力場についての定量的な知見等,プルアパート構造形成の現象解明に資する情報を得た.