2021 年 77 巻 4 号 p. I_457-I_466
阪神高速道路では,今後発生が予想される巨大地震に備えるため,広域道路ネットワークの地震被害シミュレーションに関する研究を進めてきた.1995年兵庫県南部地震の再現シミュレーションを行い,震災当時に観測された地表面加速度や橋脚の被災度を一定の精度で再現できることを明らかにした.また,様々な震源域を想定した地震被害シミュレーションを実施することで,損傷の生じやすい橋脚や地震直後の路面の段差が生じやすい箇所を抽出できることを示した.本稿は,地震被害シミュレーションの更なる精度検証のため,兵庫県南部地震の震源モデルや震災当時の構造条件との違いに着目した兵庫県南部地震の再現シミュレーションを行うとともに,全路線モデルの実務での活用について示したものである.