2021 年 77 巻 4 号 p. I_680-I_688
高い安全基準が求められる航空分野において空港が被災した場合,空港施設のみならず航空機の運航にも大きな影響が生じる.2011年東北地方太平洋沖地震の直後,東京・成田の両国際空港が封鎖され各航空機が一斉に新たな着陸先を探したことから管制機関が混乱する事態となった.このように発災直後には被災空港を目的地として飛行中の航空機の対処が急務である.そこで本研究では首都直下型地震によって2空港が被災すると仮定し,各航空機の飛行状況やダイバート候補空港の把握を目指した.分析には実際に運航した航空機の航跡データを用いて,発災時点での各航空機の航続可能距離を仮定した.その結果,各航空機のダイバート候補空港数や位置関係の把握が可能となり,各航空機の飛行状況によって異なるダイバート候補空港数が定量的に示された.