2022 年 78 巻 1 号 p. 94-107
諸外国の設計示方書においては,単純合成桁の全塑性曲げモーメント(Mp)が曲げ耐荷力として認められているが,連続合成桁では,負曲げ断面における鋼桁の降伏や局部座屈などの影響を考慮し,正曲げ断面の曲げ耐荷力をMpから低減している場合もある.一方,道路橋示方書においては,平成29年の改定の下でも,Mpを曲げ耐荷力とするような設計法は明確には示されていない.そこで,今後の連続合成桁のさらなる普及を見据え,道示における連続合成桁の,正曲げ断面の曲げ耐荷力基準を明らかにすることは重要であると考えた.本研究では,3径間連続合成桁を対象に,Mpに達するまでの挙動,すなわち限界状態を理論的に検討し,多くのケースで連続合成桁の正曲げ断面の曲げ耐荷力としてMpを低減せずに用いることができることを示した.