2022 年 78 巻 1 号 p. 78-93
本研究の目的は,走行車両のばね上振動の加速度応答を用いた路面形状同定手法の精度向上である.走行車両の加速度応答を用いた路面形状同定問題では,先行研究により,動的計画法を適用して車両外力を求めたのち路面形状を算出する方法や,疑似逆行列を用いて路面形状を直接同定する手法が提案されてきた.本研究では,それらの手法の利点を組み合わせた動的正則化最小二乗法により路面形状を直接同定する手法を提案し,その精度を数値シミュレーションおよび実車両走行実験により検証する.また,カルマンフィルタを用いた路面形状同定手法も近年研究が進められているため,本提案手法との理論的な比較と精度の検証を行う.検討の結果,提案された動的正則化最小二乗法は,国際ラフネス指標(IRI)推定において有用な手法になりうることがわかった.