2022 年 78 巻 3 号 p. 389-406
鋼I桁高力ボルト摩擦接合連結部は,フランジとウェブが協働してすべり抵抗を発揮することが知られている.協働作用を考慮したすべり耐力評価式として総すべりモーメント法があるが,桁接合部のすべり耐力を正しく評価できない場合も報告されている.本研究では,協働作用を考慮したすべり耐力評価式を確立するための検討として,ウェブ継手のボルト列数およびフランジ継手のボルト軸力をパラメータとした鋼I桁接合部の純曲げ試験を行った.その結果,桁接合部全体の総すべり耐力は,すべり抵抗モーメント比ΣMfs/MSLや曲げ剛性比EfIf/E1I1の関係に影響を受け,ウェブ列数はウェブ継手単体を対象に決定する必要はなく,フランジ継手とウェブ最外縁行の群としてのすべり耐力を確保することで,現行道示の規定よりも削減できる可能性があることを示した.