2022 年 78 巻 5 号 p. II_54-II_65
本研究では,ハンドレイアップ成形GFRPの引張疲労試験を実施し,疲労強度や繰り返し載荷に伴う剛性低下性状について調べた.試験の結果,GFRPの疲労強度はS-N曲線により評価でき,疲労限/静的強度比が35%であることがわかった.また,繰り返し載荷初期に急激な剛性の低下を生じ,その後は剛性が緩やかに減少し,破壊に至ることが分かった.さらに,既往の剛性低下モデルを用いてGFRPの静的な剛性の低下を再現することを試みた.解析の結果,疲労破壊したケースでは剛性低下モデルで使用される定数を補正することで剛性の低下を精度よく再現することが可能であった.一方,疲労限以下の応力を受ける場合は,既往のモデルでは剛性の低下を再現することが困難であるが,適切な安全率を設定することで供用中の剛性を担保できる可能性を示した.