2011 年 67 巻 2 号 p. I_143-I_148
北海道は開拓の歴史が新しく,広域分散型社会1)となっており,特に農業地域は散居形態のため洪水の際には自助力が重要である.近年北海道でも集中豪雨の頻発傾向が見られ,洪水を想定していない中小河川からの氾濫が発生している.しかし中小河川の氾濫源は,大河川の氾濫原を避けて開拓がスタートした地域であり,現在では高齢者や要支援者も多く,洪水被害軽減対策がより重要な地域となっている.
本論文では,このような地域のアンケート調査により住民の洪水に対する意識を調査するとともに,想定氾濫の対象となっていない中小河川からの氾濫を簡易な計算手法により推定して地域の潜在的な氾濫可能性を明確にし,新しい洪水ハザードマップのあり方を検討する.