土木学会論文集F6(安全問題)
Online ISSN : 2185-6621
ISSN-L : 2185-6621
67 巻 , 2 号
選択された号の論文の31件中1~31を表示しています
特集号(招待論文)
  • 丸谷 浩明
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_1-I_10
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     東日本大震災に際し,ほとんどの日本の企業・組織は,政府の想定を超えた甚大な被害を想定しておらず,事業継続上深刻な打撃を受けた.また,電力や燃料不足の発生という課題も顕在化し,さらにサプライチェーンの途絶により国内外の多くの産業で生産が低下したことも問題となった.政府や産業界は,東海・東南海地震や首都直下地震などを念頭に,大震災の教訓を活かして有効な対策を実施することが急務となっている.その基本は建物や施設の耐震性確保であるが,事業継続計画(BCP)及び事業継続マネジメント(BCM)の普及を図ることも必要である.今後普及するBCMには,サプライチェーンの観点をより明確に含ませ,「代替戦略」をより強調することが求められる.また,政府や自治体には,自らBCPを策定するとともに,民間部門のBCMの関連制度条件の改善が求められる.
特集号(和文論文)
  • 吉永 弘志, 水谷 孝一, 若槻 尚斗
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_11-I_16
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     地震等の災害時には,生存者が発する音による行方不明者の捜索も行われているので,高騒音環境において人の聴覚では知覚できない音を探査する技術を開発すれば,捜索活動を支援することができる.
     本論文では,高騒音環境において人の聴覚では知覚できない音を探査するアレー信号処理の実験について述べる.実験ではセミの声がある屋外で発電機の音および発電機の音に対して-20 dB(パワー比で1/100)の大きさの音声を角距離20°でスピーカから同時に発生させた.マイクロホンアレーは全長1.05 m,マイクロホン数15個とし,水平かつ直線上に配置した.マイクロホンアレーの受信信号を分析して音声の方向と距離を算定するとともに聞き取れる音として分離し再生することができた.
  • 永田 尚人, 和田 弘, 三島 和子, 山本 幸司
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_17-I_22
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     東日本大震災でも明らかになってきているように,震災からの復旧・復興期においては,膨大な震災廃棄物の迅速な処理が重要な課題となっている.震災廃棄物処理の問題では,居住地域からの撤去の過程(流れ)を解決しなければ,地域の復旧・復興も致命的に遅れ,結果として,地域住民の生活再建や健康面・衛生面へも大きな影響を及ぼすことも危惧されている.特に高齢者等の災害時要援護者の心身両面への負担の大きさは,過去の震災に対する事例研究でも明らかである.
     本研究では,首都直下地震を対象として,復興期における『地域の生活環境』や『地域の安全・安心』に配慮した震災廃棄物の迅速な処理の方法論と処理に関わる評価指標について提案するものである.
  • 宇野 宏司, 中野 晋, 粕淵 義郎
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_23-I_28
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     南九州・霧島連山の新燃岳(標高1,421m)では,平成23年1月に52年ぶりの爆発的噴火が起き,宮崎・鹿児島両県で降灰や噴石による被害が報告された.先行きの見えない噴火活動が住民の生活や企業活動に与える影響は大きく,また長期化することが懸念される.本研究では,各種公表資料,自治体や企業でのヒアリング調査結果をもとに,本災害による事業所や自治体の被災状況と当時の対応,今後の対策について整理し,長期化する恐れのある火山災害時における企業の事業継続に必要な観点について整理した.
     突発的な今回の火山噴火は,当該地域の火山災害に対する防災体制の不備な点を明らかにした.今後,火山災害の影響を受けない地域をも含めたより広域的な連携関係を構築しておくことや,風評被害を防ぐための復旧過程での積極的な報道の利用等が重要であると考えられる.
  • 高橋 和雄
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_29-I_34
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     建設業はこれまで災害復旧時に社会貢献活動として力を発揮してきた.建設業が保有する重機等の資機材や専門的知識を発揮して,活動を災害予防や災害応急対策にまで広げることによって,災害対策や災害時の被害を抑えることが可能になると考えられる.本研究では建設業を災害予防・災害応急対策に活用するシステムが実現可能かどうかを調査した.具体的には,都道府県建設業協会を対象にアンケート調査を行い,建設業の災害時の活動の分析と災害予防・災害応急対策に活用する方策を検討した.さらに,九州・山口県内の市町村に建設業の活用するアンケート調査を実施した.これらのアンケート調査の結果からは,災害予防・災害応急対策に建設業は十分活用可能であると判断された.
  • 田中 耕司, 花房 大輔, 中西 宣敬, 北村 祐二
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_35-I_40
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     滋賀県長浜市虎姫地区は,計画規模の洪水氾濫により深刻な家屋被害・人的被害が発生することが想定されている.現在,この地区の避難形態は,近隣の避難所への水平避難を前提としたものではなく,広域的な避難が計画されている.これを検証するために,2回に渡る図上訓練を通して,要援護者とその支援団体による避難計画の課題と改善策を検討した.第1回目の訓練では,従前に決められた各機関の持つマニュアルに沿った情報伝達・避難準備や行動について検証した結果,指定した避難所に避難することはできなかった.第2回目の訓練では,社会福祉団体における垂直避難を前提とした情報収集,情報伝達について検証した.
  • 二神 透, 濱本 憲一郎, 大本 翔平
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_41-I_46
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,チリ遠地地震,東日本大震災時に避難勧告が発令された,愛媛県宇和海沿岸の5市町を対象に,住民・自主防災・行政に対して,アンケートとヒアリングを実施した.
     それらの結果,避難した住民の問題点は,南海地震であれば,最も高い津波が襲来する時間にほとんどの住民が帰宅している点である.今後,これらのアンケート結果を,住民・自主防災・行政が共有し,それぞれの問題点・課題を探ることにより,一体的な対策につながっていくと考えている.
  • 佐々木 昌俊, 田中 耕司, 花房 大輔, 北村 祐二
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_47-I_52
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     洪水時における行政が住民に避難行動を促すための避難勧告や指示の発令基準は,河川水位によるものが多い.しかしながら,現状では河川水位だけで行政側から住民へ勧告・指示をしても逃げないケース,あるいは発令が遅く避難ができないケースが見受けられ,必ずしもこの設定方法が妥当であるという評価はできない.そこで,既に調査済みである河川沿いの経験的な危険箇所を水位観測所の情報の関連性を用いて,内外水を同時に把握することができる平面二次元氾濫解析を実施し,氾濫特性から地区毎の避難の優先順位と避難判断発令時の情報内容について検討した.
  • 高橋 雅憲, 高山 純一, 中山 晶一朗
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_53-I_58
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     平成19年3月に能登半島地震が発生し,交通の大動脈である能登有料道路のほか,多くの幹線道路が被災した.そのため直後から道路交通に混乱が生じ,あらゆる社会経済活動に影響を及ぼした.その結果,地震などの災害発生時には,混乱を避けるために地域住民,特にドライバーに対する道路交通情報の提供方法が重要であることが改めて認識された.
     そこで本研究は,災害時におけるよりサービスレベルの高い道路交通情報の提供を目指し,地域住民にアンケートを行い,地震時の道路利用状況及び情報取得状況を調査する.そして今回の道路交通情報提供方法は適切であったかを分析し,また今後どのように提供すべきか検討することを目的とする.
  • 磯打 千雅子, 真野 昂平, 白木 渡, 井面 仁志
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_59-I_64
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     大規模災害発生時において地域継続を考える場合,まず地域に所在する行政や企業等の地域組織の事業継続を考える必要ある.しかし,我が国におけるBCPの策定率は大企業で27.6%,中堅企業で12.6%と低い。地域のライフラインや道路・鉄道等社会インフラの早期復旧は,地域の生活者や地域経済の復興の大前提であり,災害発生直後の災害復旧対応においては,地域の実情に精通した建設業の担う役割は大きく,活躍が期待されている.従って,建設業の事業継続が地域の継続力向上に大きく寄与すると考えられる.本研究では,建設業のBCP策定支援システムの開発を通して得られた知見から,地域継続力向上方策を提案する.
  • 真野 昂平, 白木 渡, 井面 仁志, 久山 寛典, 磯打 千雅子
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_65-I_70
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     近年,自然災害や事故などが多発しており,多くの企業や地域組織に,事業の停止,利益の損失,顧客の信用の低下や事業から撤退などの多大な被害を及ぼしている.特に建設業の事業停止はその後の復旧活動,救助活動に影響を与え被害をさらに拡大させる恐れがあるため,建設業の事業継続計画(BCP)策定が急がれる.本研究では,Webサーバとデータベースを利用し,災害時だけでなく平常時にも機能する,建設業BCPの策定を支援するシステムの構築とそのシステムの利用環境の整備を試みた.
  • 坂田 朗夫, 伊藤 則夫, 川本 篤志, 白木 渡
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_71-I_76
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     東日本大震災のような大規模広域災害を想定した場合,従来の防災計画に基づいた対応では十分とはいえない.今回の地震被害を受けて中央防災会議の中間報告では,起こりうる最大規模の被害を想定した対応を求めており,各自治体は少なくとも地域全体の業務継続計画(BCP)を策定し,災害発生後の対応に主眼をおいた危機管理対策が求められる.
     本研究においては,中山間地域の被災者の救助・支援活動に不可欠な山間部の道路ネットワークに着目し,地方行政のBCP策定の観点から道路ネットワーク上の内在リスクを評価することとし,特に自然斜面・切土斜面に着目し,斜面の崩壊に伴う道路閉塞のリスク分析を行い,行政BCPのあるべき方向性について検討する.
  • 中津 功一朗, 古田 均, 野村 泰稔, 高橋 亨輔, 石橋 健, 三好 紀晶
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_77-I_82
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     日本は地震大国であり,大規模な地震が多発している.地震により道路が被害を受けた場合,人命救助や生活安定のためにも道路の早期復旧計画を策定する必要がある.筆者らはこれまでの研究で,計画の遅延にフレキシブルに対応し,かつ頑健性のある早期復旧計画策定手法を提案し,その有用性を示してきた.しかし,現実の復旧活動を想定した場合には,早期復旧計画を策定するだけではなく,計画の進捗の管理や把握を行い,それを意思決定に活用することが求められる.そこで本研究では,復旧計画策定システムに求められる要件を検討し,既存研究の実用化に向けたシステムの構築を行う.提案システムは,計画の進捗具合を可視化できるようにし,災害時においても利用可能なようにWebシステムとして構築を試みる.
  • 安野 貴人
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_83-I_88
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     東日本大震災で,油槽所や給油所が被災し,一時的にガソリン・灯油等が不足に陥った.石油製品は,物資輸送や救援活動に不可欠で,日常の買い物や業務の移動にも支障をきたす.ライフライン被害では,電力・水道・ガス・通信に加え,石油製品不足が重なり,その復旧の重要性が再認識された.震災では,油槽所の出荷や給油所の販売が中断する恐れがある.これらが一時中断しても,供給サービスを早期に回復できる継続方策が求められる.本稿では,東日本大震災での石油製品供給の一時中断と復旧推移を把握し,震災教訓を整理する.大地震に備えその供給サービス空白域を最小化する基幹施設の配置手法の原型を提案する.それを東北地方の給油施設に応用し,手法の有用性と継続方策の含意を考察する.
  • 粕淵 義郎, 中野 晋
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_89-I_94
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     BCP策定に際し,従業員の安全を守る基本的条件である「建屋の倒壊」は免れるレベルの耐震補強がされた工場において,更に早期回復を実現させるのに必要な要素の1つである設備の耐震化に関する考え方を「半導体工場」を例に整理した.災害時に製造業等で早期復旧を実現させるためには,建屋の耐震性確保に加えて,主要設備の耐震性向上も特に重要である.本報告では設備の耐震性強化に関して,経営からの視点も加え,ボトルネック設備を把握する方法,耐震対策の優先順位を決定する方法,さらに具体的な耐震性強化の手法について提案する.
  • 山脇 正嗣, 白木 渡, 井面 仁志, 保田 敬一
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_95-I_100
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     都市高速道路は人命救助や災害復旧・復興に不可欠な社会基盤であるため,被災後すぐに利用可能にするための事前対策として,事業継続計画(BCP)の策定が必要である.BCP策定に際しては,今回の東日本大震災の教訓を踏まえ,想定可能な最大限の規模の被害想定を行い,効果的な被害軽減策や対応体制をBCP策定時に盛り込んでおく必要がある.そこで本研究では,多様な被災状況と車両の交通行動を再現可能な交通シミュレーションシステムを開発し,都市高速道路のBCP策定支援への活用を検討する.具体的には,東日本大震災の被災状況を踏まえて,巨大な地震の発生により津波が都市内に浸入してきた状況をコンピュータ上に再現する.次に,その状況下での高速道路利用者と一般道路上の車両の安全確保対策について検討する.最終的には,シミュレーション結果を踏まえて,現状の都市高速道路BCPでは考慮されていない津波対応策を提案する.
  • 北原 武嗣, 梶田 幸秀, 岸 祐介
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_101-I_106
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     ISO2394にも見られるように,世界的に性能設計体系への移行期にある現在,構造物の安全性を信頼性設計の考え方で評価することは重要である.この際,部分係数を用いた限界状態設計法の形で評価する手法が設計実務において現実的であると考えられる.本研究ではこのような背景のもと,座屈強度を考慮した鋼製ラーメン橋脚を対象とした耐震信頼性評価を行うことを検討目的とし,地震動の再現期間が部分係数に与える影響を明らかにした.
  • 池本 敏和, 森 雅士, 宮島 昌克, 橋本 隆雄, 村田 晶
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_107-I_112
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     日本では,地震による間知ブロック積み擁壁の被害が多発している.そこで,間知ブロック積み擁壁の振動特性と破壊機構に関する実験的研究を行った.実験データは加速度による応答倍率,変位,土圧を測定した.擁壁は振動によって,盛土の沈下が発生し擁壁中部から破壊することがわかった.
  • 堀 智仁, 玉手 聡, 吉川 直孝, 伊藤 和也
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_113-I_118
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     基礎工事用大型車両建設機械(以下,くい打機という)のような大型建設機械の転倒災害を調査すると,敷鉄板の端部に履帯が位置した際に転倒した事例が見られた.くい打機の安定設置に関する検討では,敷鉄板の中央付近に履帯が設置された状態を想定しているが,くい打機は施工時に現場内を移動するため,敷鉄板端部に履帯が位置した際には敷鉄板による荷重分散効果が小さくなることが考えられる.本論文では,敷鉄板の敷設方法について分類分けし,それぞれの荷重分散効果について模型実験による検討を行った.さらに,小型のくい打機模型を作製し,遠心場走行実験を行い,敷鉄板の敷設方法と走行挙動の関連性について分析を行った.
  • 大幢 勝利, 高梨 成次, 日野 泰道, 高橋 弘樹, 豊澤 康男
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_119-I_124
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     建設業における労働災害による死亡者数は,墜落災害によるものが最も多く約4割を占めている.このため,筆者らは,簡易に墜落防止対策が行われるよう,メッシュシートを改良した墜落防止機材を考案し,改良を重ねてきた.一方で,改正労働安全衛生規則により墜落防止措置が強化されているため,本研究では,人体ダミーを用いた墜落実験により,考案した墜落防止機材の優位性を安全面から検討することとした.その際,人体ダミー落下時における衝撃荷重を測定し,その衝撃緩和性能より安全性を評価することとした.その結果,考案した墜落防止機材により,墜落防止時において作業員が受ける衝撃荷重を大幅に緩和できることを明らかにした.
  • 吉川 直孝, 伊藤 和也, 堀 智仁, 玉手 聡, 豊澤 康男
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_125-I_130
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     本論文ではトンネル切羽の肌落ちにより発生した死傷災害を調査し,その発生状況を分析した.山岳トンネルでは,装薬や支保工の建て込みに際して作業員が切羽に接近して作業するが,多くの災害はそのような作業時に発生している傾向が見られた.また,肌落ちした岩塊の大きさは0.6m角程度と比較的小さいことから,肌落ち・落石災害防止対策として,切羽変位計測,十分な照度の確保,鏡吹付,導水・さぐり削孔といったソフト・ハード両面からの対策を提示した.
  • 野々村 敦子, 鎌田 昇悟, 長谷川 修一, 林 宏年
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_131-I_136
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,香川県高松市の市街地に位置する二番丁地区において,国土地理院が基盤地図情報として提供している空中写真測量に基づく解像度5mの数値地形モデル(DEM)を用いて,内水浸水の可能性がある箇所を浸水危険箇所として抽出する簡易手法を検討した.集水地形を広域的にみることで,水の流れを平野全体で捉え,局所的にみることで,浸水しやすい箇所を微地形から捉えた.広域的かつ局所的に捉えた集水地形を重ね合わせて内水浸水の危険性がある箇所を抽出した.手法の妥当性は,2008年9月21日の集中豪雨に伴う浸水箇所と地区住民に対する聞き取り調査で収集した浸水実績のある箇所を重ねあわせて検討した.
  • 藤井 俊久, 大谷 亜須佳, 松見 吉晴
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_137-I_142
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,中山間地域を含む地方都市における救急サービスに対する現状と問題点を把握し,今後の救急車両の配備計画のための基礎資料を得るものである.本研究では,鳥取県東部広域行政管理組合消防局を対象に,まずGISを用いて地域における救急車両の要請から現場到着までの時間,病院搬送から帰署までの出場時間に関する空間分布を作成し,地域における救急サービス上の脆弱性を検討した.ついで,当該所轄における平成21,22年の救急活動状況のデータに基づく救急要請の時間間隔と出動時間に関する統計的解析より,救急サービスの時間的対応性における脆弱性を考察し,新たな救急車の配属場所や台数について検討を行っている.
  • 鈴木 英一, 加賀屋 誠一, 川村 里実, 大林 あずさ
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_143-I_148
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     北海道は開拓の歴史が新しく,広域分散型社会1)となっており,特に農業地域は散居形態のため洪水の際には自助力が重要である.近年北海道でも集中豪雨の頻発傾向が見られ,洪水を想定していない中小河川からの氾濫が発生している.しかし中小河川の氾濫源は,大河川の氾濫原を避けて開拓がスタートした地域であり,現在では高齢者や要支援者も多く,洪水被害軽減対策がより重要な地域となっている.
     本論文では,このような地域のアンケート調査により住民の洪水に対する意識を調査するとともに,想定氾濫の対象となっていない中小河川からの氾濫を簡易な計算手法により推定して地域の潜在的な氾濫可能性を明確にし,新しい洪水ハザードマップのあり方を検討する.
  • 瀬川 明久, 港 高学, 三室 俊昭, 吉川 勝秀
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_149-I_154
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     石狩川下流の泥炭性軟弱地盤上の堤防では,地盤沈下に伴い樋門周辺でゆるみや空洞化などの変状が発現して洪水時の弱点になっている.1981年8月洪水では,樋門周辺堤防で決壊1件,法面すべりなど42件の災害が発生し,堤防の決壊防止のあり方が問題になった.本論文では,地域社会の安全確保に不可欠な樋門周辺の決壊防止と被害軽減化を目的に,第1に不等沈下の要因把握ならびに氾濫原開発と堤防整備などの動向から,堤防の安全性の問題を検討して確実な安全対策の必要性を述べた.第2には現地調査に基づき,変状の形態,不等沈下の動態およびそれらの危険性を明らかにした上で,変状に関わる調査方法を提案した.第3には堤防が決壊に至る進行形態を実証的に推察し,その形態と変状の発現範囲を考慮した恒久的対策のあり方を示し,総合的な安全対策技術の確立のための考察を行なった.
  • 豊澤 康男, 伊藤 和也, 吉川 直孝
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_155-I_160
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     東日本大震災では,死者,行方不明者を合わせると犠牲者は約2万人となった.本論文では,災害復旧工事で,さらなる犠牲者を出さないために,阪神・淡路大震災,新潟県中越地震,新潟県中越沖地震及び東日本大震災における災害復旧工事において多くの災害が発生した(している)ことを踏まえ,これらの災害の特徴を概観するとともに災害復旧工事の労働安全衛生上の問題点と対策について検討した.災害復旧工事において異常時ということから安全衛生対策がおろそかになっている場合は,出来る限り早期に通常時と同等な安全衛生対策を講じる体制に戻すことが肝要であることなどを指摘した.
  • 保田 敬一, 白木 渡, 井面 仁志, 山脇 正嗣
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_161-I_166
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,高速道路におけるドライバーの新たな管理基準となる安心性能を定義する.次に,安心性能低下に繋がる要因を抽出するとともに,主に安心感の低下に焦点をあてることを考える.ドライバーが必要と感じる情報を整理し,規制情報,原因や場所などを複数の評価軸による安心性能マトリクス上に示すことで満足度の度合いを評価することを試みる.安心性能マトリクスは性能設計体系に準じ,多状態性能を許容するシステム(MSS)を考慮することで多段階の評価が可能となる.最後に,ドライバーに対して満足度のアンケートを実施し,安心性能マトリクスの有効性を確認する.
  • 高橋 雅憲, 高山 純一, 中山 晶一朗
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_167-I_172
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     石川県七尾市では,平成21年1月に短時間で急激な降雪(以下,「ゲリラ豪雪」)となり,市内各地で渋滞が発生,これにより除雪が遅れ,救急搬送にも遅れが生じた.よって石川県では,このゲリラ豪雪を教訓とした除雪体制の見直しを翌年度に行った.その結果平成23年1月に,同様のゲリラ豪雪が発生したが,市内の渋滞はそれほど発生せず,救急搬送の遅れも大きな支障は生じなかった.
     そこで本研究では,除雪体制改善前と後の年度の降雪状況,渋滞状況,及び除雪の出動データを分析し,その違いを定量的に比較した.またゲリラ豪雪の後に,県・国・市町・建設業協会等による検討会を開催し,地域防雪連携体制を構築しているが,実際の実施状況や経過についてインタビュー調査を実施した.
  • 外山 洋一郎, 豊田 政史
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_173-I_178
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     災害時要援護者の一つである「外国人居住者(以下,外国人)」の防災意識の現状を把握することを目的として,長野市内において,河川水害に対する意識アンケートを実施した.ここでは,比較のために,日本人にも同様のアンケートを行い,外国人と日本人の水害に対する意識構造の違いを明らかにした.得られた結果は,以下の通りである.1) 水害に対する意識の高さは,外国人と日本人の間ではほとんど差がみられなかった.2) 外国人は日本人と比べて,水害に備えておこうという意識(自助意識)は高かったが,身の回りで洪水が発生する可能性に対する意識が低かった.3) 国籍別にみると,中国人の意識が他の国の人と比べて低かった.
  • 二神 透, 大本 翔平, 濱本 憲一郎
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_179-I_184
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     四国においては,来るべき南海・東南海地震に備える必要がある.特に市街地では,木造密集市街地での地震火災延焼リスクが想定される.さらに,気象条件である風速が大きい場合,同時多発による延焼リスクは脅威となり,多くの人的生命の喪失に繋がると想定される.
     本研究は,香川県唯一の密集市街地である,丸亀市御供所町1)を対象とした地域防災力の向上に向けた,リスク・コミュニケーションについて述べる.具体的には,地域のキーパーソンと著者らが,大地震時の火災延焼シミュレーション・システムを援用しながら,自主防災組織の結成,防災訓練の実施といった,地域のPDCAサイクルによる地域防災力の向上に向けた実践研究を報告する.その過程で,著者らが開発している大地震時の火災延焼シミュレーション・システムが,支援システムとして,地域コミュニティのBCPに果たしている役割と課題について述べる.
  • 財賀 美希, 藤井 俊久, 雁津 佳英, 松見 吉晴
    2011 年 67 巻 2 号 p. I_185-I_190
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,地域防災力の向上化に関するソフト面からの施策を検討するものである.本研究では,まずアンケート調査による住民の防災意識に関わる要因分析の結果,ハザードマップの活用が防災意識を高め,その結果として避難経路・避難所が事前に設定されることから,地域の防災力の向上には住民の防災意識が関与することを明らかにした.次に,住民の危機意識の高低差による避難意思決定の時間差と河川堤防破堤に伴う浸水計算を取り込んだ避難シミュレーション結果より,避難所要時間に及ぼす住民の防災意識の影響を考察すると共に,避難所までの避難所要時間に基づいた避難所毎の地区割りを示した.また,住民の防災意識の向上化ツールとしての避難シミュレーションの有用性についても検証している.
feedback
Top