抄録
墜落災害対策として,平成21年に労働安全衛生規則が改正され,新たに墜落防止用の手すりなどを足場に取り付けることが義務付けられた.これらの部材は,足場の1側面に取り付けることが多く,足場には偏った荷重が作用する.本論文では,足場の鉛直荷重を支える部材である建わくを対象として,偏心荷重を受ける建わくの座屈実験を行い,その強度について検討した.更に偏心荷重を受ける建わくの座屈強度の計算方法を示し,実験結果と比較することでその計算方法の妥当性を検討した.この計算方法は実験結果と良い対応を示した.また,偏心荷重を受ける建わくの座屈荷重は,偏心荷重の比率が大きくなるほど値が小さくなる結果が得られた.手すりわくなどを取り付けて足場を高く設置する場合は,偏心荷重の影響を考慮して設計した方がよいと考えられる.