抄録
東日本大震災では,津波による犠牲者の約6割が65歳以上であった.今後の高齢化社会を考慮すると,一人で逃げることのできない要援護者の避難支援が喫緊の課題となっている.
しかし,要援護者の個別計画は進んでおらず,それらを支援するシステムが必要であると考えている.
そこで,津波が想定される地域を対象として,要援護者と支援者が避難する行動をアニメーションで見ることができるシナリオ・シミュレータの開発を行った.開発したシステムの特徴は,通行阻害を想定し,全世帯の避難行動,要援護者と支援者の避難行動,任意の世帯の避難行動を確認できる操作性にある.
今後,津波の条件をシステムに組み入れ,住民とともに,専門家の視点で阻害箇所を精査し要援護者支援の個別計画を策定する予定である.