抄録
自然災害や大規模火災を対象としたキャンパスの危機管理には,設備整備を加え,避難に関して学生及び教職員による自助・共助の基づく迅速かつ円滑に避難行動が行えるように避難体制の確立のためのソフト対策が必要不可欠である.本研究は,大学キャンパスにおける講義室から指定避難場所までの避難シミュレーションを構築し,避難完了までの移動時間や経路といった時空間的な情報に関する解析を行った.その結果より,避難経路上の構造的脆弱性に関する評価よりスポット的な設備改善策とその効果を検討すると共に,安全な避難行動のあり方として上層階からの避難者に避難経路を譲るモデルを考案して避難所要時間の短縮効果を考察し,最終的に最適な避難経路及び避難行動モデルについて検討したものである.