災害時の不確実な情報から,意思決定者は災害対応の決断をしなければならない.この決断を下す際に「対応の迅速性」と「情報の正確性」のどちらを優先するかといった意思決定者のジレンマが存在する.この優先度の違いによって,災害対応の結果は異なってくる.そこで本研究では,災害発生後の死亡者数の時間変化をワイブル分布で近似し,逐次得られる死亡者数から最終死亡者数を求めるベイズ推定モデルを構築した.過去の地震災害事例を用いた最終死亡者数を考察することにより,災害対応の決断を下す時間帯を見積もることができ,これは意思決定者のジレンマ軽減に資するものと考える.