2015 年 71 巻 2 号 p. I_177-I_184
浸水被害をハード整備で防ぐには膨大な時間と経費を要するため,整備途上でも被害の最小化を図るソフト対策の充実が喫緊の課題である.本研究は2014年8月に那賀町で発生した水害時の行政と住民の対応を検証する.また,過去の那賀川における出水状況を踏まえ,はん濫発生と水位や上流のダムからの放流量の相関関係等を検証するとともに,行政が発信する災害関連情報の種類や伝達方法,住民の避難完了までに必要な時間等も検討する.その結果,住民の避難等が適正に実施されるよう,災害発生前の行政や住民の対応を時系列に沿って「いつ,だれが,何をする」を明確にした「防災行動計画」を提案する.