抄録
本研究では,災害の頻度や程度を表す曝露と災害に対する社会や経済の脆弱さを表す脆弱性の掛け合わせで定義される世界各国の自然災害に対するリスク指標World Risk Index(WRI)の算出方法を分析し,その意義と課題について考察を行った.つづいて,我が国でも防災・減災対策の合理化に資する総合的な自然災害リスク指標が必要であるという観点から,都道府県レベルで自然災害や社会・経済の様々な要素の相互関係を考慮してリスクを定量化する指標の算出体系について考察を行った.また,リスク指標を構成する脆弱性の中間指標の一つである災害感受性を47都道府県について試算し,結果について考察を行うとともに,我が国における自然災害に対するリスク指標が備えるべきリスク評価体系について議論した.