抄録
本論文は,災害から速やかな回復を可能とするレジリエンスな社会構築のための被害の低減策と対応力向上策に関する現状と課題,および建築分野における事例を報告する.まず南海トラフ巨大地震を例に,地震の長期評価や被害の正確な想定が困難なことが明らかになっている現状を紹介し,中小から最大級まで多様な被害レベルを想定し,柔軟な対応の必要性を確認する.次に被害の低減策の事例として,南海トラフ巨大地震やを対象とした建築分野での設計用地震動(L1・L2地震動)と検証用地震動(L3地震動)の策定例や米国での動向を紹介する.さらに被害時の対応力向上策の事例として,災害の規模に応じた危機対応レベルの設定と超高層建築の設定例を説明し,最後に新宿駅周辺地域における被害が出ることを前提とした地域連携による災害対応力向上のための取組みを紹介する.