抄録
大規模災害が発生した場合,衛星リモートセンシング,特に合成開口レーダ(SAR)は昼夜,天候にかかわらず被害状況を早期に把握する上で非常に有効な方法である.一般的に災害発生域の検出には災害発生前後の画像が必要となるが,必ずしも災害発生前の画像が入手できるとは限らない.本研究では,災害発生前の画像が得られない場合を想定して,災害発生後のみのSAR画像から斜面崩壊域の検出を試みた.具体的にはHH, HV, VH, VVの4偏波を組み合わせた画像に閾値を設定することで豪雨によって発生した斜面崩壊域の検出を試みた.その結果,衛星から観て山の手前側にある斜面崩壊域は概ね検出することができ,災害発生後のみのSAR画像からでも特定の条件下では斜面崩壊域を検出できる可能性を示すことができた.