空港土木施設の信頼性設計法導入に当り,損傷確率や信頼性指標等の目標安全水準(限界値)に関する議論の深化が求められている.限界値は科学的合理性のみならず,社会的合意事項としての側面を併せ持つと考えられ,その設定には人工公物としての行政法の解釈や被災した際の瑕疵責任の所在を明らかにする必要がある.また,空港土木施設は空港機能を担う構成要素であり,その限界値は空港全体の要求性能の限界値から一定の合理性の下で評価する必要がある.本論は災害対策基本法や国家賠償法等の行政法に加え関係する判例等を調査し,限界値設定に資する法的論拠を考察する.また,空港全体の限界値から空港土木施設の限界値を評価する方法を提案し,標本空港のコードキャリブレーションを行い提案手法の適用性について検討を行なう.