抄録
災害対応を行うためには,社会基盤の復旧状態を把握するのみではなく,人々の生活再建についても把握することが必要である.しかしながら,生活に伴う活動は様々でありそれらを一元的に把握することは困難である.そこで本研究では,自然災害が被災地の人々の行動に与える影響と災害後の活動の回復過程を明らかにすることを目的として,人々の移動速度に着目した分析を行った.2016年4月の熊本地震を事例として,ポイント型流動人口データを用い,地震発生前後の人々の移動速度と非移動確率をゼロ過剰モデルにより推計した.その結果,地震発生前と比較して発生後には移動速度と非移動確率が変化すること,その後の活動の回復過程は各市町村により異なることが明らかになった.