2018 年 74 巻 2 号 p. I_93-I_100
名古屋のセントラルパーク地下街は,河川の氾濫や大雨による内水氾濫で浸水する可能性が低い商業施設である.火災や地震の発生時に,避難での滞留者が発生する場所をシミュレーションで明らかにするとともに,望ましい避難誘導方法の提案を行う.多くの既存研究とは異なり,想定値ではなく,現地で調査した来街者数に基づいたシミュレーションであり,2次元平面でのシミュレーションではなく,竣工図から作成した3次元モデルに基づいた3次元空間でのシミュレーションである.このシミュレーションにより,適切な避難誘導がなければ,地上に通じる28の連絡階段の中で4つの階段において滞留が発生してしまうことが判明した.提案する避難誘導により滞留を回避でき,来街者全員が3分未満で避難できることをシミュレーションにより確認した.