抄録
前線性集中豪雨ではしばしば線状降水帯が形成され,短時間に洪水氾濫が発生するケースがある.2017年九州北部豪雨では豪雨発生時と下校時間が重なり,複数の学校で下校時の安全確保が問題となった.近年,想定を超える異常降水による被害が頻発しており,水害時の安全確保対策は教育機関でも重要な課題である.本研究では 2017年九州北部豪雨で被害を受けた福岡県朝倉市と大分県日田市の小中学校を対象にして,浸水被害発生時の緊急対応についてヒアリング調査を実施し,児童・生徒に対する安全管理についての課題抽出を行った.さらに,学校周辺での洪水氾濫解析結果と照合することで,安全管理上の問題はなかったのかについて詳しく検討した.学校での安全管理は下校させることが前提となっているために,下校路の安全確認が不十分となり,生徒や保護者が危険にさらされるケースが発生していた.これを改善するためには下校を前提とした安全管理方法を改める必要がある.