2018 年 74 巻 2 号 p. I_85-I_92
2017年九州北部豪雨では梅雨前線に伴う大雨で福岡県朝倉市を中心に各所で洪水被害が発生した.朝倉市内には公立・私立合わせて16の保育所と1認定こども園があり,その内4保育所と1こども園で被害があった.平日午後からの急な豪雨で,被災地の保育所では保護者への引き渡しなどの緊急対応,被災後の応急保育対応が行われた.
本研究では朝倉市の保育担当課及び同市杷木地区4公立保育所でヒアリング調査を実施し,急な豪雨災害時の保育所での危機管理と保育継続に関する課題抽出を行った.職員の証言と保育所周辺での洪水氾濫痕跡などを照合することで,保護者への引き渡しや職員の帰宅時の安全確保についての留意点が整理された.また,被災から約1カ月(2所は半年)の合同保育を行う際の給食・給水・衛生面での留意点,平素からの連携の重要性などが明らかとなった.