2019 年 75 巻 2 号 p. I_39-I_46
現在,基礎自治体から,与えられた対象降雨に対する内水氾濫や堤防越堤・破堤が原因の外水氾濫に関する洪水ハザードマップが住民へ公開・配布されている.そのハザードマップでの危険性の表示は,主として浸水深のみの場合が多い.しかしながら,実際,浸水するにあたっては,流れを伴っているケースが多く,時間的に急速に浸水し水深が小さくても歩行できない場合がある.また,流れが弱く時間的にゆっくりと氾濫原が浸水する場合,洪水による濁水の湛水により水面下の道路の縁石や側溝などの地物が視認できず,人が徒歩避難する上で危険である.すなわち,現行ハザードマップの表示には,検討の余地があると考えられる.本研究では,現行ハザードマップにおける危険性の表示法について不足していると考えられる点を抽出し整理した.そして,それらの不足点に関する改善策について検討を行った.