2019 年 75 巻 2 号 p. I_65-I_74
南海トラフ地震の発生確率が,今後30年間で70~80%といわれるなかで,甚大な被害が想定される四国地方においては,地域特性に応じた的確な防災・減災対策が必要となっている.瀬戸内海には多くの島々が点在し,その多島美が美しく国内外からの観光客も多い.特に,2019年は,香川県内の島々を中心に2010年から3年ごとに開催されている「瀬戸内国際芸術祭」が開催されている.これら離島地域の多くは,人口減少や高齢化が進展し,無居住化が懸念される島も増加している.さらに離島では,地理的・社会的問題の影響で,防災・減災対策が遅れているのが現状である.本研究においては,これら離島における防災・減災対策の課題と対応策について,産業基盤のない男木島と産業基盤のある直島の事例を分析し,離島における今後の防災・減災対策のあり方について検討を行った.