2019 年 75 巻 2 号 p. I_57-I_63
神戸市では長い歴史を見続けてきた古木や,雄大さと安らぎを与えてくれる森を市民の協力のもとに「市民の木・市民の森」に指定しており,神戸のまちづくりに貢献している.こうした樹木を保全していくためには樹木が置かれてきた空間の履歴と現状を把握することが大切である.
本研究ではまず,樹木状態などを把握するための現地調査と,樹木の生態系サービス,被災履歴などを知るためのアンケート調査を実施した.また,国土数値情報等のオープンデータを活用した自然災害被災リスクを把握するための空間情報解析を行った.その結果,過去の被災履歴から樹木の特徴が活かされ,減災につながった事例があることを明らかにした.また,それらの樹木は主にレクリエーションの場,生物の生息・生育環境といった生態系サービスを提供していることがわかった.