2019 年 75 巻 2 号 p. I_83-I_92
中山間地域の持続を考える上で,地域に必要な道路の把握評価が必要である.本研究は,中山間地域に存在する全道路を把握し,交通量の少ない道路の防災的価値を把握することを目的とする.本研究では,高知県香美市全域を対象に公道と林道を統合した異種道路ネットワークを構築した.また,人口データを元に集落を定義し,災害域予想や避難所のデータを元にしたネットワーク分析より集落と避難所間や地域全体の繋がりを評価した.結果として,災害が発生した場合としない場合の各集落からの避難先の変化や集落の孤立を把握した.また,それらの経路の重要度や通行しやすさを試算した.林道を考慮することで地域内集落の孤立を防ぐような迂回路が増加することがわかった.また,集落から避難所までの移動経路に林道が用いられており,林道は防災的価値を有することが確認できた.