2020 年 76 巻 1 号 p. 10-19
本研究は,突発的な深夜の集中豪雨発生後における,地域防災リーダーの対応行動と平時からの備えに関して,事例調査に基づき考察することを目的とする.自主防災組織の地域防災リーダーによる迅速な意思決定と主体的な対応行動で人的被害を免れることができた地区に対してインタビュー調査を行った.
その結果,リーダーは今回の被災を事前に予測できていなかったにもかかわらず,起床後に周辺状況から瞬時に危機を察知し,迅速かつ組織的な避難行動を行っていたことがわかった.また,この行動に至った背景には,平時から行政の限界を理解し,横のつながりなどを生かして自分たちの地区は自分たちで守る姿勢があった.