2020 年 76 巻 2 号 p. I_117-I_122
新型コロナウイルス感染対応の長期化が避けられない中,地震や豪雨災害が発生する「複合災害」への対応が求められている.防災に関連した58学会で作る「防災学術連携体」は,その「複合災害」対応の重要性に鑑み5月1日に緊急提言を発表している.しかし単独に災害対応だけでも十分な体制がとれない小規模な基礎自治体においては,複合災害時の対応への備えは検討されておらず,また組織としての体制構築も難しい状況にある.本研究では,基礎自治体の避難所開設や運営対応に着目して,自然災害と感染症拡大等他の緊急事態との複合災害発生時において備えるべき仕組みや対応体制並びに対応策について提案する.まず,過去の地震や豪雨災害発生時における避難所の開設・運営に関する課題と対応事例を整理する.次に,新型コロナウイルス感染対応が継続されている状況下で,地震や豪雨等が発生した場合の避難所開設・運営について,「3密」対策に着目してレジリエンエンジニアリングに基づいた対応策を提案する.