抄録
本論文では,脆弱地山における大断面トンネルの変形挙動を考慮した支保部材として,PC鋼棒の適用性に関する検証結果について報告する.新東名の大断面トンネルでは,高強度化された支保材料を積極的に採用し,安全性,施工性,経済性を追及した標準設計となっている.新東名金谷トンネルにおいて,標準設計の支保材料では内空変位の増大や支保の変状を抑制できない,大土被りの脆弱地山区間が出現した.そこで応力の集中しやすい上半側壁部に,標準設計の高耐力ボルト(耐力290kN)に替えてPC鋼棒(耐力748kN)を採用し,支保耐力の向上を図ることで変位抑制が可能となり,安全で経済的な施工が可能となった.ここでは,過去に報告した現場計 測結果と新たに行った有限要素法による解析結果との比較を行い,PC鋼棒の支保効果について検証した.