2015 年 71 巻 1 号 p. 41-53
昨今,高度経済成長期に集中して整備された社会インフラの維持管理や更新が重要視されている.公共交通を支えてきた開削トンネルも40~80年の経年を迎えて,それらの維持管理に対する関心が高まっている.そこで本研究では,この際の補修数量を計画する指標となることを期待して,全国規模の将来予測シミュレーションを実施し,変状原因ごとに,経年とひび割れ発生割合の関係をまとめた.まず,現場調査データの統計分析から,開削トンネルにおける材料劣化の特徴を明らかにした.次に,室内試験から,腐食生成物に応じた丸鋼のひび割れ発生時の腐食量の算定手法を提案した.最後に,これらを用いた将来予測手法を構築して,それによるシミュレーション結果をまとめるとともに使用方法を示した.