抄録
トンネル支保設計では,特殊な地山条件や類似例が少ないなどの理由から,解析的手法が用いられることがある.支保部材を構造計算し定量的に評価する場合,初期応力状態や地山物性を事前に精度良く把握する必要があるが地山は不均質で均質ではない.本研究では地山の不均質性に着目し,不均質性を考慮した2次元トンネル掘削解析の解析結果を初期応力分布が明らかな幌延深地層研究計画における350m調査坑道の支保工応力計測結果と比較した.その結果,坑道で発生した支保部材の限界状態を部材の一部が超過する応力計測結果は,地山の不均質性を確率的に考慮することで説明できることがわかった.また,解析結果の支保工応力のばらつきを統計処理することで,地山の不均質性がトンネル支保工応力に与える影響を定量的に評価した.