2019 年 75 巻 1 号 p. 1-6
笹子トンネルの事故を契機として,道路トンネル定期点検方法の見直しが平成26年に行われ,同時に点検時の健全度評価指標に関する研究も進んできた.著者のひとりは,覆工に発生したひびわれの定量的評価手法として,クラックテンソルの考えを導入した覆工ひびわれ指数TCIを提案し,健全度評価指標として覆工の経年変化について分析している.しかし,これまでの健全度評価法方法はスパンごとにTCIを算出するため,覆工の劣化が進展している箇所の抽出は難しいといった問題点があった.そこで,本ノートでは,TCI算出時の対象覆工面積を複数に分割比較すること,並びにTCIの方向成分ごとの経年分析をすることで,覆工の健全度変化を明らかにし,トンネル覆工補修個所の優先度が判定ができることを示した.