2019 年 75 巻 1 号 p. 116-129
近年,山岳トンネルにおいて完成後に盤ぶくれが発生し,対策を実施した事例が報告されているが,鉄道などの走行安全性を確保するためには,盤ぶくれを未然に防ぐことは非常に重要である.しかし,掘削時の地山状況から盤ぶくれがわずかでも懸念される地山に対して,曲率が大きいインバートや鉄筋コンクリート構造のインバートを採用することは,現実的ではない.本研究では,これらの課題の解決をすべく新たに整備新幹線の山岳トンネルで採用されているインバート構造1)を対象に模型実験と数値解析を行い,盤ぶくれの挙動を把握するとともに,標準的なインバート構造と比較し盤ぶくれの抑制効果について検証を行った.その結果,新たなインバート構造は施工性,経済性は従来の構造と同程度でありながら,盤ぶくれ抑制効果が向上することを確認した.