2014 年 70 巻 1 号 p. 13-19
近年,都市部において50mm/h以上の集中豪雨の発生回数が増加しており,地下空間に雨水が流れ込む被害が発生している.過去の水害においては,人命が失われたという事例もある.本研究では,大規模地下空間を対象に,浸水時の避難行動解析を行うことで,混雑度が避難成功率に与える影響について検討した.また,地下の接続ビルを避難経路とし,避難誘導した際の避難成功率の向上についても検討を行った.解析結果から,混雑度が大きくなると出口付近で人が滞留を起こし,避難成功率が急激に低下することが確認できた.また,接続ビルを避難経路とすることで,滞留が解消され,避難成功率が向上する事や,避難の際には,地上への避難のみでなく,接続ビルへの避難を併用することが有効であることが確認できた.