2019 年 75 巻 1 号 p. 26-38
トンネル覆工の打音調査を対象に,変状の程度と振動特性の関係について検討を行った.まず,覆工を模擬した試験体を打撃する打音試験を行い,内部空洞がある場合に減衰に要する時間が長くなることや,固有振動に相当する周波数に明瞭なピークが見られる等の特性を把握した.また,三次元動的解析を行い,打音試験と対応していることを確認するとともに,内部空洞により振動スペクトルに明瞭なピークが見られることや,卓越周波数は空洞範囲や空洞深さの影響を受けること等の振動特性を把握した.さらに,ひび割れ面のせん断応力とせん断抵抗力を比較することにより剥落安全率を算出する手法を提案し,ピークが発現する周波数と剥落安全率との関係の一例を示した.