抄録
結晶均質化マルチスケール圧電解析のための並列計算法を提案した.圧電問題においては,変位場と静電ポテンシャル場との連成解析に現れる有限要素式の係数行列が非正定値となり,共役勾配法のような並列計算との相性の良い反復ソルバーの適用が困難である.そこで,分離反復型連成解法に基づく新しい並列反復計算法を開発した.この手法により,係数行列に前処理を施すことなく,良好な収束性を得ることができる.並列解析コードにおいては,解析時間の大部分を占めるミクロ解析を並列化し,通信量を削減するためプロセスを階層的に分割する階層型並列計算法を実装した.さらに,並列性能の定量的な評価を行い,階層型並列計算法の有効性を示した.