日本計算工学会論文集
Online ISSN : 1347-8826
ISSN-L : 1344-9443
三角形メッシュを基に自動的なセグメンテーション手法
張 子賢サブチェンコ マリヤYixiong Feng福久 龍哉篠田 淳一萩原 一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 2011 巻 p. 20110001

詳細
抄録
リバースエンジニアリングや計測データからの3Dモデルの再構成(対象となる物理モデルから得られる高密度な点群データを3Dのポリゴンメッシュに変換して表現すること)は,コンピュータグラフィックス,ラピッドプロトタイピングなどの広範な領域で応用されるようになってきている.これらにより,最近の3DレーザスキャナやX線計測技術における効率性と信頼性が大きく向上している.リバースエンジニアリングには2種類の手順がよく使われている.その一つが点群を基にしたモデルの再構成であり,もう一つがポリゴンメッシュを基にしたものである.これら2つの手順に対して,メッシュのセグメンテーションは非常に重要なものとなっている.それぞれが個々の曲面に近似されるように,計測データを意味のある独立したセグメントに分割することにより,後工程である,形状認識,特徴や構造の抽出そして曲面のパラメータ化のために必要となるデータを提供することができる.YaoらおよびYamauchiらは,解析的曲面に焦点を当て,セグメントの同定のための効率的な判定基準を提案している.しかしながら,3つの曲面型にしか対応しておらず十分なものとはいえなかった.また,Vancoらによる手法では,依然としてアルゴリズムの安定性に改良が必要とされる.本研究では,平面;円柱面;円錐曲面;球面;円環面;押し出し曲面;線織面;フィレットといった曲面の分類に従って,表面メッシュセグメントの曲面型を同定する自動セグメンテーション技術を提案する.この技術は,シャープエッジの評価と領域成長法を基にしている.Vieiraらは,領域成長法を基に,ノイズの多い3D曲面メッシュに対するセグメンテーション法を提案している.そのアプローチと比較して,本手法では,前処理としてセグメントの境界(シャープエッジ),これは結果として滑らかな境界となるものであるが,の抽出を行い,そしてさらにセグメントの表面の同定に特に焦点を当てている.提案手法では,対象となるメッシュのノイズレベルが正確な結果を得るための重要な鍵となる.そして本アルゴリズムでは,ノイズレベルの評価がその出発点となる.Vieiraらは,計測点群と局所的近似された曲面との距離を計算することによる,3Dメッシュに対するノイズレベルの評価法を提案している.本手法では,ノイズレベルの評価法にこの手法を採用している.これにより,対象となるメッシュは,ノイズの多いメッシュと滑らかなメッシュに分類される.滑らかなメッシュに対しては,本提案アルゴリズムが直接適用される.一方,ノイズの多いメッシュに対しては,計測点群が持つノイズの影響を軽減するためにラプラシアンスムージング法が適用される.一般にラプラシアンスムージング法を用いることによって,対象となるモデルのシャープエッジが平滑化されてしまうが,これを防ぐために,Jiらによる特徴保持アルゴリズムを適用している.そして,各節点の近傍の法線ベクトルと主曲率がシャープエッジを同定するために計算される.シャープエッジはメッシュセグメントを正確に抽出するための基本的な分割を可能にしてくれる.各セグメントのガウス写像の次元と曲面をお互いに区別するための判定条件によって,セグメントが抽出される順序が決定され,セグメンテーションの自動化が実現される.本手法のメリットは,滑らかな境界曲線を用いて,正確にセグメントの表面を同定できることにある.提案アルゴリズムの検証には,2.7GHZのCPUを持つコンピュータを固定して用いている.許容可能な計算時間と良好な結果が本手法の信頼性を証明している.
著者関連情報
© 2011 The Japan Society For Computational Engineering and Science
次の記事
feedback
Top