日本計算工学会論文集
Online ISSN : 1347-8826
ISSN-L : 1344-9443
修正 PSO による建築骨組構造物の高次元最適化
菅谷 明誉曽我部 博之
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 2016 巻 p. 20160016

詳細
抄録
建築構造物における最適化手法は, 設計変数が比較的少ない最適化問題, 例えば平面構造物の断面設計や創造的なデザイン探索などに適用されることがほとんどである. 一方, 一般的な建築物の構造形式である立体トラス構造や立体ラーメン構造に最適化手法を適用する場合, 構造物を構成する柱やはりなどの部材の共有化を図っても, 設計変数の個数は数百になることが予想される. 建築構造最適化問題における解の探索手法については, 近年, 遺伝的アルゴリズムなどのヒューリスティックな最適化手法が数多く利用されているが, 本研究では粒子群最適化 (PSO : Particle Swarm Optimization) を用いて構造最適化を行なった.
PSOは鳥や魚などの集団行動から発想を得て創られた群知能のひとつで, アルゴリズムが非常に単純であることや目的関数の勾配情報が不要であることなどから, 近年では様々な工学分野で応用されている. しかし, 設計変数が非常に多くなる高次元の最適化問題や目的関数が多峰性となる最適化問題においては, その探索性能の低下が指摘されている.
本研究では, これらの問題点を解決するためにPSOのアルゴリズムを僅かに修正したPSOを提案し, 5つのベンチマーク問題に適用することによって, その探索性能が飛躍的に向上することを示した. さらに, 建築構造物を構成する柱, はりなどの部材は, 既製品を用いることが一般的であることから, 修正したPSOに離散設計変数に対応するための処理や設計変数の設計可能領域を段階的に小さくする処理を加えて, 立体トラス構造や立体ラーメン構造の最適化問題に適用し, その有効性について報告する.
著者関連情報
© 2016 The Japan Society For Computational Engineering and Science
前の記事 次の記事
feedback
Top