2019 年 2019 巻 p. 20190012
本研究では非圧縮性流れ解析のための粒子法であるLSMPS法において新しい壁境界の取り扱い方法の開発を行った.従来の壁境界の取り扱いでは,壁面上に補助的な計算点 (壁粒子) を配置し,壁粒子にも流体粒子同様に速度と圧力の変数を定義することによって壁境界条件を課していた.しかしながら,壁粒子の速度と圧力を変数として取り扱うことによる計算の非効率化や数値不安定性等の課題があった.本研究で提案する手法では,壁粒子の速度と圧力を変数として定義せず,与えられる壁境界条件そのものを用いて空間離散化スキームを定式化する.また,壁粒子を動的に配置するコピー粒子の方法を用いることで,壁粒子配置を陽的に決定する必要がなく,複雑な形状や動的な変形を含む壁面に対しても簡便に適用することができる利点をもつ.検証問題として,二次元平行平板間流れ,三次元正方形管内流れ,二次元剛体回転問題,二次元正方キャビティ流れの数値解析を実施した.その結果,これら全ての問題において提案手法を用いて得られた数値解が理論解等の参照解と極めて良く一致することが確認され,提案手法の妥当性が示された.