2020 年 2020 巻 p. 20200018
構造物の損傷同定技術は、構造物を安全に運用する上で重要な技術となっている。近年、運用時の実データを使ってモデルパラメータを逐次的に推定し、損傷を同定する方法が提案されているが、従来の研究は加速度計やひずみゲージのような点計測を前提にして、少数のモデルパラメータの推定結果から損傷同定を行っていた。本研究では、画像計測を代表とする面計測を前提にして、拡張カルマンフィルタを用いた2次元の平面応力モデルの逐次データ同化法とその損傷同定への適用を示す。有限要素で離散化された平面応力モデルの各要素の剛性パラメータをモデルパラメータとして、拡張カルマンフィルタにより逐次推定を行う。この際、推定対象のパラメータ数が非常に多くなるが、面計測を前提にしてモデルの全自由節点が計測可能であると想定して、逐次推定を行う。推定される剛性パラメータの分布から2次元モデルの損傷箇所を同定可能であることを数値実験により示す。