日本計算工学会論文集
Online ISSN : 1347-8826
ISSN-L : 1344-9443
2020 巻
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
  • 風間 悦夫, 菊地 厖
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 2020 巻 p. 20200001
    発行日: 2020/01/24
    公開日: 2020/01/24
    ジャーナル フリー

    本論文は無節点であるがLagrange乗数,ペナルティ関数およびspringを用いない固体力学問題の新しい離散化解析法が提案されている.本解析法では解析対象の固体を切り離して複数のアイソレートされた要素に分割される.アイソレートされた要素が変形しかつ静力学的に自由物体として空間内を移動できるようにするために,それぞれの要素に局所座標系を設けて変形と剛体運動が許容される変位関数を用いて力学的状態が記述される.要素の状態を表す変分方程式は拡張された最小ポテンシャルエネルギーの原理の最小化から導出される.導出された弱形式および強形式の変分方程式により,要素どうしの変位の連続条件および力学的境界条件はEuler-Lagrangeの方程式として満たされることが示されている.最後に本解析法による2つの数値解析例が示されている.

  • 車谷 麻緒, 相馬 悠人
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 2020 巻 p. 20200002
    発行日: 2020/01/24
    公開日: 2020/01/24
    ジャーナル フリー

    本論文では,摩擦接触を伴う破壊挙動を再現するための損傷モデルを示し,3次元の有限要素解析において提案モデルの解析精度および妥当性を検証する.提案モデルの特徴は,準脆性材料の破壊力学に基づいて破壊挙動を精度よく再現可能な損傷モデルに,クーロンの摩擦モデルに基づいて破壊面での摩擦接触のモデル化を導入したことである.第2節では,摩擦接触を伴う破壊挙動のモデル化に対して,3次元問題に対応した損傷モデルの新しい定式化を示す.第3節では提案モデルの検証例題を示す.まず構成モデルから出力される物質点の応答において,破壊面での摩擦接触が適切にモデル化されていることを示す.次に,単純な二相材料の圧縮問題において,要素タイプおよびメッシュサイズによる影響を検証した後,既存の実験結果との比較を行い,提案モデルの妥当性を検証する.第4節では,本論文で得られた成果をまとめ,今後の課題について述べる.

  • 外里 健太, 小谷 拓磨, 波多野 僚, 高瀬 慎介, 森口 周二, 寺田 賢二郎, 大竹 雄
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 2020 巻 p. 20200003
    発行日: 2020/02/28
    公開日: 2020/02/28
    ジャーナル フリー

    本研究では,モード分解の技術を適用した数値シミュレーションベースの津波リスク評価の新たな枠組みについて提案する.提案手法では,まず,不確実性を考慮したいくつかのシナリオで数値シミュレーションを行う.これらの数値シミュレーションから得られる結果に対し固有直交分解(POD)を適用することで,空間モードを抽出し,これらの空間モードの線形結合としてリスク指標の空間分布を示す代理モデルを構築する.この代理モデルを用いてモンテカルロシミュレーションを行うことで確率論に基づく津波のリスク評価を行う.本研究では,簡単な条件設定の下で数値シミュレーションを行い,建物に作用する津波の衝撃力のリスク評価に対して提案手法を適用した.その結果,提案した枠組みが効率的な津波のリスク評価を可能にし,災害のリスク評価について有用であることが示された.

  • 澤田 有弘, 近藤 雅裕, 松本 純一
    2020 年 2020 巻 p. 20200004
    発行日: 2020/04/02
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー

    本研究では,流体と固体の境界にXFEM(拡張有限要素法)を適用する境界捕捉型のFSI(流体・構造連成)計算手法を動的なFSI問題へ適用する際に出現する拡充関数の時間変動を考慮した流体の慣性項の計算手法を示した.そして,当該手法のFSI計算に対する適用性や安定性に関する評価を,柔軟体の流体励起振動の計算において実施し,その有効性を示した.評価は,当該手法と等しい連成境界を与えるALE法による境界追跡型のFSI計算手法が与える計算結果と比較することにより行った. 本研究は広義には,i)XFEMの動的問題への適用と,ii)Lagrange記述される構造計算ではなく,Euler記述される流体計算に対する適用と,iii)Eulerメッシュ中を不連続面が移動する問題への適用の三つを同時に考察したものであり,完全な解を示すには至っていないが,本研究の成果はXFEMやそれに準ずる計算手法の応用や新たな適用に関し,有益な知見を与えるものと考えられる.

  • 韓 霽珂, 西 紳之介, 高田 賢治, 村松 眞由, 大宮 正毅, 小川 賢介, 生出 佳, 小林 卓哉, 村田 真伸, 森口 周二, 寺田 ...
    2020 年 2020 巻 p. 20200005
    発行日: 2020/04/15
    公開日: 2020/04/15
    ジャーナル フリー

    近年,亀裂・進展の解析手法の一つとして,phase-field破壊モデルが注目を集めている.phase-field脆性破壊モデルは既に多くの実績が報告されている一方で,延性材料を適切に表現するphase-field破壊モデルは発展途上である.

    phase-field破壊モデルにおいて,拡散き裂の幅を表す正則化パラメータは破壊開始の制御に用いられ,これが大きいほど破壊開始が早くなる.これは正則化パラメータが大きい場合には,その分だけき裂近似領域も大きくなるため,1に近いphase-fieldパラメータの分布も拡大し,それに応じて荷重--変位関係のピーク値が小さくなることが原因として考えられる.

    本研究では,正則化パラメータの性質を考慮し,通常は定数として扱われる正則化パラメータの代わりに,蓄積塑性ひずみの大きさに応じて変化する可変正則化パラメータを提案する.これにより,塑性域と正則化パラメータによって規定されるき裂周辺の損傷域が関連づけられ,塑性変形の影響を考慮した損傷の計算が可能となる.提案モデルの表現性能を調査するためにいくつかの解析を行った.

    可変正則化パラメータの導入により,塑性変形の進行とともにき裂周辺の損傷域が大きくなる傾向が捉えられ,弾性域から塑性域を経てき裂に発展するといった遷移過程に特徴づけられる延性破壊を表現できることを確認した.ベンチマーク問題の解析等の数値解析を通して,き裂の進展方向を適切に予測できること,および可変正則化パラメータを介して延性の制御が可能になることを例示した.また,金属供試体を用いた実験の再現解析では,実験結果と整合する結果が得られることも確認した.

  • 鎌田 浩基, 加藤 準治, 京谷 孝史
    2020 年 2020 巻 p. 20200006
    発行日: 2020/04/28
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー

    The present study proposes a simplified topology optimization method to improve structural strength. Topology optimization considering structurally nonlinear behavior is one of the important topics. However, most of those methodologies request the complicated analytical derivation of sensitivity analysis and also high computational costs to obtain the optimal solution. This is the reason why the optimal design method based on linear structural analysis is still common approach in practice. However, optimal layouts based on linear structural analysis may lose the structural stability under larger or uncertain load.

    From this background, we propose a method of practical and simplified topology optimization to improve structural buckling behavior with much lower computational costs than that of optimal design based on complicated nonlinear structural analysis. Finally, we discuss the setting of the optimization problem improving the structural strength and demonstrate the accuracy and performance of the proposed method by a series of numerical examples.

  • 入部 綱清, 永井 邦憲, Md Mostafizur Rahman
    2020 年 2020 巻 p. 20200007
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2020/04/30
    ジャーナル フリー

    海岸工学分野では段波による波圧を評価することは,海岸構造物の維持管理に重要である。本研究の目的はMPS法における疑似圧縮型のソース項の改良を行い,圧力計算を安定的に行うことである。精度検証として静止した流体の静水圧の計算を行い,理論値と比較し良好な結果を得た。さらに海岸工学分野への応用として,段波の計算を行い,衝撃波圧と重複波圧の関係,重複波圧と護岸全面水位の関係,重複波圧と沖合波高の関係において,実験結果との比較を行い良好な結果を得た。

  • 車谷 麻緒, 加藤 匠, 村松 眞由
    2020 年 2020 巻 p. 20200008
    発行日: 2020/05/27
    公開日: 2020/05/27
    ジャーナル フリー

    コンクリートに形成するひび割れは,材料としての強度特性に加えて,構造物の耐久性にも関係する重要な因子であるため,粗骨材がコンクリートに及ぼす影響を定量的に把握しておく必要がある.しかし,粗骨材の形状と分布を反映したコンクリートの3次元モデルを作成することが容易ではないため,メゾスケールにおけるコンクリートの3次元破壊シミュレーションを実施することができない.そこで本研究では,粗骨材の形状と分布を再現したコンクリートの3次元メゾスケールモデルの作成手法を提案する.具体的は,主に材料科学の分野において,材料の組織形成シミュレーションの手法として知られるフェーズフィールド法を応用することで,粗骨材の3次元形状をいくつでも自動生成可能とし,それらを3次元空間内にランダムに配置することで,疑似的にコンクリートの3次元メゾスケールモデルを作成する方法である.はじめに,フェーズフィールド解析により粗骨材の形状データを構成する方法と,それらを3次元空間内に配置する方法と手順について述べる.次に,実際のコンクリート断面との比較により,提案手法の妥当性を検証する.最後に,既存の解析手法を用いて,3次元破壊シミュレーションを行った例を示し,提案手法により作成されるメゾスケールモデルはコンクリートの数値実験に適用可能であることを例示する.

  • 王 晨宇, 長嶋 利夫
    2020 年 2020 巻 p. 20200009
    発行日: 2020/06/05
    公開日: 2020/06/05
    ジャーナル フリー

    航空宇宙産業における軽量構造で多用されている優れた比強度と比剛性を有するCFRP積層板は,層間はく離,マトリクス割れおよび繊維破断が連成した複雑な損傷が発生する可能性がある.特に衝撃損傷を有する積層構造の圧縮強度はCAI (Compression After Impact) 強度と呼ばれ,積層材料を用いた航空機構造の重要な強度評定の一つになっている.現状の航空機構造設計において,多数回実施される強度試験を,数値シミュレーションに置き換えるバーチャルテスティング手法が実現すれば,設計工程が短縮され,コスト削減に資することができると考えられる.

    CFRP積層板におけるマトリクス割れ,層間はく離をモデル化するために,Halletらは,積層板の層間およびマトリクス割れの生じる可能性のある箇所にあらかじめ結合力モデル (CZM) を考慮したインターフェース要素を設定した有限要素法 (FEM) により,CFRP積層試験片の損傷進展解析を行い,実験結果と概ね整合する結果を得ている.これらの研究においては,収束計算が不要な動的陽解法が用いられている.一方,Ridhaらは,連続体損傷モデルを静的陰解法で解く際の収束性の問題を改善するために,接線剛性が負にならないようなZig-zag型軟化則を提案している.また,Higuchiら,島崎らは拡張有限要素法 (XFEM) でマトリクス割れをモデル化し,結合力モデルとしてZig-zag CZMを導入し面内荷重を受けるCFRP積層板の損傷進展解析を陰解法で実施し,妥当な結果を得ている.従来の研究においては,面内荷重を受ける試験を解析対象としていたので,有限変形理論を考慮する必要がなかった.

    本稿は,CAI強度試験を数値シミュレーションに置き換える解析手法を確立するための研究の一環として,QSI試験解析を実施する.QSI試験解析においては,材料の損傷による材料非線形性に加えて,積層板の大たわみによる幾何学的非線形性,押し込み圧子と積層板表面との接触による境界非線形性を考慮する必要となる.

    本解析では,薄板の面外荷重問題であり,微小ひずみ大たわみを扱うために有限変形理論が不可欠となる.このような解析においても,Zig-zag CZMを用いた静的陰解法の妥当性を検証した.解析結果を,通常のCZMを用いた動的陽解法による結果や実験結果と比較して妥当性を検討した.

    Zig-zag CZMによる陰解法をCZMによる陽解法と比較するために,内製FEMコードNLFEA3Dを使用した.一方,内製コードの解析結果は,実務で用いられる汎用コードによる結果と,どの程度近いのかを参照として示すために,Abaqus/Explicitを用いた.

    これらの解析結果は,実験により得られる第1強度低下点までの荷重と押し込み量の関係と第1強度低下点直後の損傷の大きさを概ね再現しました.陰解法によるQSI試験解析では,計算時間およびエネルギーバランスに影響するマススケーリングや現象加速などのパラメーター調整が不要なことは陰解法の利点として確認された.一方,Zig-zag CZMでも新たなパラメーターとして c が追加されているが, c に対して感度が小さい.

    今後は,数値解析の精度を向上させるために,CZMの改良を検討するともに,衝撃損傷を有する構造の圧縮試験解析や補強材などの複雑な構造を対象とした検証解析の実施する.また, XFEMを用いて,多数のマトリクス割れをモデル化し,解析モデルの高精度化および効率化を図る.

  • 宮本 柊吾, 越塚 誠一
    2020 年 2020 巻 p. 20200010
    発行日: 2020/06/09
    公開日: 2020/06/09
    ジャーナル フリー

    This paper presents a strong coupling method of impulse-based rigid body simulations and incompressible fluid simulations using particle method, by adopting velocity-based formulation of fluid incompressibility constraint. Conventional coupling simulation of rigid bodies and fluids using particle method are commonly weakly coupled, or using approximations to rigid bodies that are not faithful to rigid body dynamics. Our proposed method however, achieves strong coupling of rigid bodies and incompressible fluids by solving contact constraints and incompressibility constraints simultaneously, without any non-faithful approximation to both rigid body dynamics and fluid dynamics. Computational examples show that the proposed method accurately simulates rigid bodies, fluids, and interactions between rigid bodies and fluids.

  • 山中 耀介, 松原 成志朗, 齋藤 理沙, 森口 周二, 寺田 賢二郎
    2020 年 2020 巻 p. 20200011
    発行日: 2020/06/23
    公開日: 2020/06/23
    ジャーナル フリー

    本研究では,熱硬化性樹脂の硬化過程における材料挙動の熱力学的に整合したモデル化を通して,粘弾性および硬化度の時間発展に対する双対散逸ポテンシャルを導出する.そして,双対散逸ポテンシャルと定式化の中で定義した自由エネルギーを増分型変分法に適用して,釣り合い問題を効率的に解くための数値計算アルゴリズムを構築する.双対散逸ポテンシャルは,定義する散逸ポテンシャルを,示強変数に関して Legendre-Fenchel変換(LF変換)することで得られる双対関数であり,LF変換で現れる最大化問題の最適性条件は示量変数の流れ則に一致する.特に,本研究では硬化度の時間発展に関してPerzynaの過応力理論とのアナロジーから硬化乗数を新たな内部変数として導入し,硬化度の時間変化を流れ則として規定することで,硬化反応の時間発展を数理塑性論と同様の理論的枠組みで論じる.この結果,増分型変分法を用いて規定された熱硬化性樹脂の釣り合い問題は,その変文構造が完全に保証され,硬化度を含めた全ての状態変数を陰的に更新するアルゴリズムの構築が可能となる.本手法の妥当性は,簡単な境界値問題を対象として,従来型の定式化に基づく解法と同一の結果が得られることを確認することで示す.

  • 風間 悦夫, 菊地 厖
    2020 年 2020 巻 p. 20200012
    発行日: 2020/07/14
    公開日: 2020/07/14
    ジャーナル フリー

    本論文は,固体力学のひずみエネルギーおよびコンプリメンタリエネルギーの関係式をエネルギーの制約条件式として変分原理に導入することにより,応力と変位をそれぞれ独立変数に用いる混合変分原理を提案する.本論文の混合法を用いて固体力学問題の離散化解析を行うと1回の数値解析で応力および変位の上界と下界の近似解を算出することができる.数値解析により得られた上界と下界により,応力または変位の真の解と近似解の誤差の範囲を定量的に定めることが可能である.本混合法を既に発表済みのアイソレート要素法に適用して平面応力問題を数値解析した結果を発表する.

  • 吉田 敏哉, 中山 浩成
    2020 年 2020 巻 p. 20200013
    発行日: 2020/07/16
    公開日: 2020/07/16
    ジャーナル フリー

    To quickly and accurately predict the dispersion of hazardous materials released over urban areas, we propose a combined method in which dispersion fields are simulated using a Reynoldsaveraged Navier-Stokes model with pre-calculated flow fields from a large-eddy simulation (LES) model. First, the combined model is conducted for dispersion in a simple street canyon. The results of the combined model are compared with those of a wind-tunnel experiment to adjust empirical parameters in the turbulent scalar flux. The horizontal dispersion fields predicted in the combined model with the best parameters are well consistent with those calculated from our LES model. We then apply the combined model to predict the scalar dispersion over a real urban area. The combined model well predicts the results obtained from the LES model with less calculation time. Therefore, we find that the combined model is potentially effective for emergency response to hazardous-material release over urban areas.

  • 川上 幸亮, 三目 直登, 金子 栄樹, 吉村 忍
    2020 年 2020 巻 p. 20200014
    発行日: 2020/08/07
    公開日: 2020/08/07
    ジャーナル フリー

    In this paper, we proposed an interpolation/distribution function based on the discretized Dirac delta function and a reduction parameter to distribute less force outside the interface in interface-capturing methods. Compared to conventional methods such as half distribution (HD) forcing strategy which distributes force only inside the interface, our proposed interpolation/distribution function can adjust the force distributed outside the interface by the reduction parameter. We coupled the proposed interpolation/distribution function with the Direct-Forcing/Fictitious Domain Method (DF/FDM) to solve fluid-rigid body interactions. The numerical results show that the proposed interpolation/distribution function is effective to improve accuracy of the solution for fluid-rigid interaction problems.

  • 石原 大輔, 高田 黎, Prakasha Chigahalli Ramegowda
    2020 年 2020 巻 p. 20200015
    発行日: 2020/08/07
    公開日: 2020/08/07
    ジャーナル フリー

    アクチュエータやセンサに用いられる圧電バイモルフは,通常,電気回路に接続される.この場合,圧電バイモルフの機械的挙動は回路からの電荷の影響を受け,また圧電バイモルフは回路内でコンデンサのように振る舞う.ゆえに,圧電バイモルフを用いる電気機械システムの設計プロセスにおいて,逆圧電‐圧電連成に加えて,圧電バイモルフと回路との連成を考慮する必要がある.本研究では,この逆圧電‐圧電‐回路連成問題に対する新しい有限要素解析手法を提案する.薄い複合材圧電バイモルフを考慮するために,逆圧電解析にはシェル要素,圧電解析にはソリッド要素を用いる.従って,ソリッドとシェルの間における変数変換方法を用いる.回路解析は1自由度で記述する.また,圧電‐回路連成において,電位と電荷の連続性に基づく連成条件式を提案する.連成アルゴリズムは,ブロックガウスザイデル法に基づいている.逆圧電解析において,曲げ剛性および質量に対する材料の複合則を用い,圧電解析において,導体の疑似圧電体評価法を用いる.最後に,本解法によって,RC回路およびシャントダンピングにおける連成現象を正確に解析できることを示す.

  • 山東 篤, 坂 敏秀, 高橋 容之, 小磯 利博
    2020 年 2020 巻 p. 20200016
    発行日: 2020/08/19
    公開日: 2020/08/19
    ジャーナル フリー

    本論文の目的は,3次元問題における2つの不整合メッシュを結合する多点拘束条件を計算する手法を確立することである.多点拘束条件の定式化は,変位の整合性と表面力の分布を考慮したEl-Abbasi and Batheの方法を採用する.その多点拘束条件は結合面内における形状関数の積を積分した成分を持つ行列で表される.その積分範囲は1つの多項式だけが含まれるようにデローニー三角形分割によって分割される.それによって,その数値積分値は数値的に正確に算出される.

    数値積分のための三角形分割の妥当性や解析精度を検証するため2つの例題を示した.第1の例題においてデローニー分割を用いた三角形分割の数値積分値と理論値が一致することを確認した.第2の例題は2つの直方体モデルを面対面の多点拘束により結合したモデルとした.多点拘束モデルの結合面の変位,拘束表面力,一次主応力を参照解と比較し,点対面の多点拘束法より高い精度を有していることを確認した.加えて,多点拘束条件の導出に少ない積分点数を用いたガウス積分を用いると,予測不能で不適切な数値解析解を与えることがあることを確認した.

  • 赤間 誠, 松原 聖
    2020 年 2020 巻 p. 20200017
    発行日: 2020/09/10
    公開日: 2020/09/10
    ジャーナル フリー

    レールシェリングは、列車の車輪が繰り返し通過することによって表面で発生する転がり接触疲労き裂である。この研究では、シェリングの水平裂進展の数値シミュレーションを行った。進展解析は、ヘルツ接触下の2次元 (2D) 表面傾斜き裂の応力拡大係数 (K値) の境界要素解析結果に基づいて行った。いくつかの2Dき裂を並列に配置し、それらの先端を結合することにより、近似的に3次元 (3D) 半楕円形の水平裂のK値を求めた。この手法は、完全な3D解析に比べて計算速度が大幅に向上する。進展解析は、モード I / IIおよびモード I / IIIの非比例混合モード試験のデータを使用して、Richardによって提案された等価K値範囲を用いたパリス型き裂成長則で実施した。分岐の方向は、Hourlier-Pineau基準に従って予測した。

  • 秋田 剛
    2020 年 2020 巻 p. 20200018
    発行日: 2020/09/15
    公開日: 2020/09/15
    ジャーナル フリー

    構造物の損傷同定技術は、構造物を安全に運用する上で重要な技術となっている。近年、運用時の実データを使ってモデルパラメータを逐次的に推定し、損傷を同定する方法が提案されているが、従来の研究は加速度計やひずみゲージのような点計測を前提にして、少数のモデルパラメータの推定結果から損傷同定を行っていた。本研究では、画像計測を代表とする面計測を前提にして、拡張カルマンフィルタを用いた2次元の平面応力モデルの逐次データ同化法とその損傷同定への適用を示す。有限要素で離散化された平面応力モデルの各要素の剛性パラメータをモデルパラメータとして、拡張カルマンフィルタにより逐次推定を行う。この際、推定対象のパラメータ数が非常に多くなるが、面計測を前提にしてモデルの全自由節点が計測可能であると想定して、逐次推定を行う。推定される剛性パラメータの分布から2次元モデルの損傷箇所を同定可能であることを数値実験により示す。

  • 永井 邦憲, 入部 綱清, Md Mostafizur Rahman
    2020 年 2020 巻 p. 20200019
    発行日: 2020/10/28
    公開日: 2020/10/28
    ジャーナル フリー

    海岸工学の分野では,不規則波を使用して沿岸地域での越波などの問題を解決することは重要である。本研究の目的は,MPS法でシミュレーションした不規則波の精度の検証である。不規則波の解析は,ゼロアップクロス法とスペクトル解析により行われる。計算結果として,高周波または短周期の波の波高が減衰していることが示される。さらに,不規則波の数値計算には多くの波が必要であるため,計算時間とデータ容量の増加の問題が示唆される。

  • 関根 憲登, 前田 太陽, 井上 聡
    2020 年 2020 巻 p. 20200020
    発行日: 2020/11/06
    公開日: 2020/11/06
    ジャーナル フリー

    Many incidents are occurred frequently, educations for digital forensics are necessary. In order to drive training for digital forensics effectively, we propose a problem solving environment to provide a guide for digital forensics works. To accelerate the users understanding of the works, this system provides user flowchart images are generated from log data of maintenance works in the forensics. We also adopt the recognition whether the works are correct or not by using a convolution neural network. As the result, users obtained accuracy is 98.1% as the recognition of correctness in particular conditions.

  • 月野 誠, 山田 貴博
    2020 年 2020 巻 p. 20200021
    発行日: 2020/11/10
    公開日: 2020/11/10
    ジャーナル フリー

    機械部品のアセンブリモデルの構造解析においては,接触問題を取り扱えることが不可欠である.しかし通常のボクセル解析法では,物体間の接触条件の考慮が困難である.これに対し本研究では,有限被覆法(FCM)において,ボクセル型構造解析の枠組みにおけるEBE-PCG法を用いた実用的な3次元摩擦なし接触解析手法を構築した.FCMにおける接触拘束条件の定式化としてペナルティ法を用いた場合,精度確保のためにペナルティ係数を大きくすると数値的に不安定となり,反復法による連立一次方程式の求解において収束性に悪影響を及ぼす.これに対し本研究では,小さなペナルティ係数でも精度が確保できるNitscheの方法を用いる手法を提案した.また充填率が微小な要素による不安定性に対処するために,FCMにおけるghost penaltyの適用を提案した.さらに異なる要素サイズを段階的に用いる解析手法を提案し,計算時間の短縮を図った.これらの提案手法について,基本的および実用的な3次元接触問題の数値解析により有効性を示した.

  • 小川 竣, 音羽 貴史, 山田 崇恭
    2020 年 2020 巻 p. 20200022
    発行日: 2020/12/23
    公開日: 2020/12/23
    ジャーナル フリー

    本研究は、熱交換量性能最大化を目的としたレベルセットトポロジー最適化手法を提案するものである。トポロジー最適化は、最適化の過程で境界の移動だけでなく、新たな境界を発生させることが可能である。また、熱交換は物体の境界に行われるため、その境界の位置と形状が物体の温度分布に大きな影響を与える。そこで、本研究では、物体の形状依存の境界条件として熱伝達境界を考慮した感度解析手法を提案する。特に、トポロジー導関数と形状感度が異なる式で定義されることを前提に、2つの感度式を組み合わせた新たな設計感度式を示す。加えて、最適化計算中に自動で熱伝達境界面の位置を判定する数値解析手法を導入する。最後に具体的な数値計算を行い、提案した手法の妥当性を示す。

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