2018 年 18 巻 p. 25-41
本研究の目的は,発達障害児の放課後活動の利用実態,特に放課後等デイサービス(以下,放課後デイ)に対する母親の認識および利用を通した経験を明らかにし,子どもと家族を取り巻く社会状況について考察することにある.小学校通常学級在籍児をもつ母親に対するインタビューから以下の点が示された.(1)発達障害児は,障害のある子どもを対象とする活動や塾・習い事など,多様な放課後活動を利用していた.(2)放課後デイを利用している母親は放課後デイを社会的居場所とみていた.(3)放課後デイを継続利用する中で,母親は,子どもの意見と母親の意向とのギャップを意識するようになり,放課後のすごし方を見直すようになっていた.そして,放課後活動の選択に,学齢期以降の発達障害児者支援体制が機能していないことに起因する子どもの将来に対する母親の不安が影響していることが示唆された.