本研究の目的は,母親がもつ担任保育士への信頼感の醸成プロセスを探索的に明らかにすることにある.2018年7月~9月,東京都内に在住し,認可保育所,地域型保育事業を利用する子どもの母親11名を対象に半構造化インタビューを実施,M-GTAにて分析した.結果として,《担任保育士の保育に関する信頼感の醸成プロセス》,《保護者と担任保育士の連携に関する信頼感の醸成プロセス》,《家庭での子育ての相談に関する信頼感の醸成プロセス》の3つの枠組みが把握された.1つ目の保育の信頼感は,保育士の子どもへの穏やかな眼差しにより芽生え,多面的な保育の質の認識により強まり,保育への協力や感謝の気持ちにつながった.2つ目の連携,3つ目の相談は,継続的関わりにより保育士への安心感が芽生え,積極的情報交換により信頼感が強まった.家庭状況の理解という安心感により,連携や相談が実現し,子育てのパートナーとしての信頼感や子育てへの還元につながった.