2021 年 21 巻 p. 1-10
本研究の目的は,保育所を利用する外国にルーツのある保護者について,保育所保育士がどのように認識し支援しているのかについて明らかにすることである.在留外国人が比較的多い自治体の保育所124か所の保育士を対象にした質問紙調査の結果,保育士が下記の必要性を認識していることが示唆された.(1)保護者への情報伝達への配慮,(2)保護者との関係性の構築,(3)背景にある生活習慣や宗教などへの配慮,である.保育士は外国にルーツのある保護者に対して個別性の尊重の観点を持ち,文化的コンピテンシーを踏まえた支援を行っていると言える.ただし社会資源の活用や他機関との連携については十分な認識がなく,外国にルーツのある保護者への支援においてはソーシャルワークの視点が必要であることが示唆された.