抄録
本研究の目的は,入院児と家族を対象とした病院ボランティア活動に対するニーズを把握し,病棟看護者の役割について考察することである。対象は,東北地方の3病院において行事や遊びのボランティア活動を導入している小児科病棟,導入していない小児科病棟および外科系診療科病棟で同意の得られた入院児の家族80名,看護婦126名であった。質問紙調査による回答の統計的分析と自由記載内容のカテゴリー化による分析の結果,1)家族,看護婦の7割以上が,「病棟行事」,「保育」,「遊び・話し相手」,「病棟内の飾りつけ」をボランティア活動として必要と考えていた。家族は看護婦よりも午前中の活動を希望した。2)家族はボランティアに対してプライバシーの配慮を求めていた。3)ボランティア未導入の小児科病棟家族のボランティア活動に対するニーズの高さは,家族の人数,付き添い期間,入院期間,安静度制限と関連がみられ,家族の負担がニーズに影響していた。看護者はボランティアと相互の責任を認識することが必要である。入院児,家族にとって望ましいボランティア活動が行われるよう継続的で柔軟な連携のもとでプライバシー保護を含む具体的取り決めや意見交換を行うことの重要性が示唆された。