抄録
本研究の目的は、幼児がどのように手術に伴う短期入院中の体験を理解するのかを明らかにし、幼児の体験への理解を促す看護援助を検討することである。総合病院の小児病棟に手術目的で予約入院した幼児11名とその母親11名を対象とし、絵本によるオリエンテーションを行い、質問紙調査、参加観察法により得られたデータを質的に分析した。分析の結果、入院中の体験について、入院を環境の違いとして理解し、入院後の体験を手術の過程の一部としてではなく、断片的に捉えていた幼児と、病気を治すという入院目的が分かり、一つ一つの体験を手術の一連の流れとして理解していた幼児がいた。そして、短期入院中、幼児は、新しい環境に適応しなければならない状況の中で、体験前に絵本を見ることで知っている体験が増えたことや、入院中の母親の存在により、体験に対する不安が軽減され、一つ一つの体験を乗り越える力が引き出されていたことが明らかになった。