抄録
子どもの発熱を主訴に救急外来を受診する患者家族の割合と判断理由を明らかにし、看護への示唆を得ることを目的として小児救急外来において調査を行った。調査データは、来院時のトリアージ記録と診療記録から得た。発熱を主訴として救急外来を受診する患者は、小児救急患者の21%を占めた。しかし、緊急の医療的介入を必要としない場合が多く、ほとんどは自宅観察が可能な患者であった。受診した家族の判断が記録されている147件のトリアージ記録の分析からは、発熱を主訴に子どもの救急外来受診を決めた家族の判断を5つのパターンとして捉える事ができた。家族が受診を決めた経緯や受診の目的はそれぞれが患者家族にとっては深刻な心配事であって、家族が受診時にそれらを解消できるような対応が必要である。家庭での経過観察のしかたと子どもの世話、再受診のタイミングなどの一般的な助言を行なうにとどまらず、家族の関心に焦点をあてた対応が必要であることが示唆された。