日本小児看護学会誌
Online ISSN : 2423-8457
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16 巻, 2 号
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  • 石井 佳世子
    原稿種別: 本文
    2007 年 16 巻 2 号 p. 1-8
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    小児がん発症後5年以上を経過し、社会生活を送っている青年後期の小児がん経験者をもつ母親20名を対象とし、母親の子どもへの関わりとその関わりの意味を明らかにするため、質的記述的研究を行った。その結果、母親は〔子どもへの基本的な思い〕、〔母親として責任のある子どもへの思い〕、〔豊かな人生を送って欲しい〕という3つの【母親としての願い】を持っていた。この願いは、【体験を無駄にしたくない】という病気体験の捉え方、【やっぱり病気を忘れられない】という病気そのものの捉え方、【将来のある子ども】という子どもの捉え方によって、常に揺れ動いていた。また母親は、【母親としての願い】を持ちながら、【子どもを守る】という関わりを行い、これはこの先も子どもを守り続けたい<終わりのない見守り>という意味を持つと考えられた。さらに母親は、子どもへの関わりを通して、【変わっていく自分】を感じ、子どもの病気を自らの体験として意味づけていた。
  • 神道 那実, 浅野 みどり
    原稿種別: 本文
    2007 年 16 巻 2 号 p. 9-16
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、小児血液疾患の治療に伴って必要となる療養行動において、患児がどのような自主性を発揮しているのか、また病状説明と親の関わりが自主性にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにすることであった。対象は、小児血液疾患をもつ入院中の10〜14歳の患児とその親4組であり、質問紙および半構成面接を行った。その結果、患児は療養行動に対して否定的感情を抱きながらも個々の理解に応じた自主性を発揮していた。内服では多くの自主性が見られたのに対し、含嗽では不十分であり、自主性が体調や血液データ、過去の経験、必要性の理解度に影響を受けていることが明らかとなった。病状説明においては、すべての患児が希望通りに病状説明を受けていたことが自主性の促進因子となっていたが、入院初期の説明内容は3事例が覚えていなかった。また、患児の意思や行動を尊重した親の関わりが自主性を促進していることが示唆された。
  • 永瀬 由紀子
    原稿種別: 本文
    2007 年 16 巻 2 号 p. 17-23
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
  • 野口 明美, 佐野 明美, 服部 淳子, 山口 桂子
    原稿種別: 本文
    2007 年 16 巻 2 号 p. 24-32
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    看護大学の小児看護技術教育において、小児のバイタルサイン測定(以下、VS測定とする)の実際場面をよりイメージ化できる学内による技術演習プログラム(以下、プログラムとする)を作成し、小児看護学実習初日での実施を試みた。プログラムの効果を明らかにするために、研究参加への同意が得られた3年次学生66名を対象に学生の自己技術評価と教員の技術評価から分析・考察を行った。その結果、乳幼児の呼吸音・心音・血圧測定時のコロトコフ音を実際に聴かせるプログラムは、学生が子どもの速い音・小さい音のイメージができ、数の測定や音の聞き分けができる効果が得られた。また、協力が得られない子どもへの対応を考えるためのビデオ学習と子どもの反応を状況設定し、それに対応しながらの乳幼児モデルを使用したVS測定演習のプログラムは、子どもの気持ちや人権を守ることの重要性を理解し、子ども特有に必要なVS測定技術の習得と子どもの反応に合わせた測定方法や援助方法を選択することの必要性の理解に効果が得られた。
  • 岩瀬 貴美子
    原稿種別: 本文
    2007 年 16 巻 2 号 p. 33-40
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    小児がん患者の健康行動遂行の支えと考える自己効力感(以下SE)の特徴と健康行動(療養行動と健康習慣)との関連を明らかにするため、外来通院している10〜15歳の小児がん患者36名に質問紙調査を行った。対象は、平均12.42±1.53歳、血液腫瘍77.8、SE総点は48点中平均40.47±4.37点であった。SE総点と対象の療養行動、健康習慣総点との間に相関は見られなかった。SE項目ごとに見ると、健康行動では、感染予防行動の実行度が高いほど、生活リズムに関連する健康習慣が良いほどSE項目得点が有意に高かった。健康習慣と感染予防行動実行との相関や療養行動間の相関も見られた。以上より、SEは健康行動遂行の支えとなりうると考えられ、SE向上に向けた家族支援,感染予防行動や良い健康習慣の維持への看護援助の必要性が示唆された。
  • 平林 優子
    原稿種別: 本文
    2007 年 16 巻 2 号 p. 41-48
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は、慢性疾患に罹患した子どもと家族が、病院での生活から在宅療養に移行する中で、家族にとって生活が「落ち着いた」と感じるまでにどのような経験をしているのかについて明らかにし、その過程への援助のあり方を考察することである。訪問看護ステーションから紹介をうけた8家族、10名に半構成的面接を実施し、在宅の経験のまとまりごとに分類したカテゴリー名をつけ、在宅療養の仕方の時期に分けてテーマをつけた。在宅移行初期は、《混乱しながら子どもの命を守る生活》であり、医療者からの指導を手がかりにしながらも、現実に出現する問題に直面し、無我夢中で子どもの生命を守ろうとする生活であった。生活安定の模索・調整期では、《周囲を活用しながら判断力を手に入れる生活》を行っていた。家族の個別化された生活調整期は、《家族自身が子どもとともに決めるが、常に変化する生活》であった。支援のあり方として、在宅移行初期は指示や指導、模索・調整期は判断の保証、情報提供、個別化された生活調整期には、社会的資源を中心とした多様な情報提供、家族の療養方法の保証が必要であった。
  • 山村 美枝
    原稿種別: 本文
    2007 年 16 巻 2 号 p. 49-54
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、小児看護学実習の教員のかかわりに関する文献を分析し、教員の今後の課題や研究の方向性などを明らかにすることである。平成9年度(1997年度)のカリキュラム改正により実習時間が短縮されたことで、教員の学生へのかかわりがどのようになったのかを知るために、改正後に調査をした文献20件に焦点をあてた。文献は、事例検討が12件、質的研究が2件、量的研究が6件であった。文献の内容を分類すると、学生と子どもへのかかわりについては10件、学生と家族へのかかわりは2件、臨床実習指導者とのかかわりについては8件であった。結果、学生が子どもやその家族へのかかわりについて戸惑っている場面への教員のかかわりについては、事例検討が多く、学生の不安や戸惑いに教員は注目して学生とかかわっていく必要があることが明らかになった。また、教員の臨床実習指導者とのかかわりについての研究は、量的研究により報告されたいた。
  • 廣田 久美子, 西海 真理, 伊藤 龍子
    原稿種別: 本文
    2007 年 16 巻 2 号 p. 55-60
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2017/03/27
    ジャーナル フリー
    子どもの発熱を主訴に救急外来を受診する患者家族の割合と判断理由を明らかにし、看護への示唆を得ることを目的として小児救急外来において調査を行った。調査データは、来院時のトリアージ記録と診療記録から得た。発熱を主訴として救急外来を受診する患者は、小児救急患者の21%を占めた。しかし、緊急の医療的介入を必要としない場合が多く、ほとんどは自宅観察が可能な患者であった。受診した家族の判断が記録されている147件のトリアージ記録の分析からは、発熱を主訴に子どもの救急外来受診を決めた家族の判断を5つのパターンとして捉える事ができた。家族が受診を決めた経緯や受診の目的はそれぞれが患者家族にとっては深刻な心配事であって、家族が受診時にそれらを解消できるような対応が必要である。家庭での経過観察のしかたと子どもの世話、再受診のタイミングなどの一般的な助言を行なうにとどまらず、家族の関心に焦点をあてた対応が必要であることが示唆された。
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