2011 年 20 巻 2 号 p. 57-64
本研究では、処置時に子どもの権利を尊重するための説明ツールやガイドラインを用いる取り組みを行ない、取り組み後の看護師の意識の変化を明らかにする。研究対象は研究参加への同意の得られた看護師27名である。まず、権利という視点からみた話し合いを行なった。次に取り組みに必要なツールと各ガイドラインをスタッフと共に作成し、同時に子どもの権利を尊重した看護を実践し、評価した。その結果、取り組み前の話し合いでは、23の看護の具体的問題を抽出した。説明ツールは、発達段階別に処置毎(採血、点滴の挿入、術前処置)に作成し、ガイドラインは、処置時の看護ケアを経過毎にまとめて作成した。看護ケアの実践事例は43事例あった。取り組み後の看護の具体的問題は17に減少し、子どもの権利に対する看護師の意識が向上した。本研究の取り組みでは、看護師の子どもの権利意識の向上と、ツールの存在が看護ケアの実践を促し、看護師が看護ケアの効果を実感できたことで、看護ケアを行う喜びや意欲向上にもつながったと考えられる。