抄録
本本研究では、医療的ケアが必要な子どもをもつ養育者がどのような思いを経て、子どもの在宅療養を受け入れているのかのプロセスを明らかにすることを目的とした。研究方法は、同意の得られた医療的ケアを必要とする子どもの養育者6人を対象に、M-GTA(修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ)を用いて行った。その結果、在宅療養を受け入れるプロセスは、9つのカテゴリと24の概念が抽出された。養育者は、子どもへの医療的ケアに参加することによって【医療的ケアは子育ての一環】と思えるようになり、【医療的ケアが必要な子どもと共にやっていこうと思う覚悟】ができる。また、養育者は、退院を目の前にして、自宅での生活を考え子どもとの関係を自分だけでなく、配偶者、きょうだいといった家族全体の関係で捉え直し、【医療的ケアが必要な子どもと共に生活する覚悟のゆれ】が生じるが、退院後に自宅で生活するうちに【医療的ケアが必要な子どもと共に社会で暮らす覚悟】が固まる。